入社1年目の暮れのボーナスは1万円
　
それにバター・クリームのXmasケーキを
1個いただいた

正月に帰省する時は弟や妹にイイカッコウしたい
しかし、おみやげを買うお金がない・・・・
　
で、このケーキを暮れまで大事にとっておき
おみやげにする
　
31日の帰省夜行列車は都電のラッシュ並に
混んでいて
ケーキは長野あたりまで持ち上げたまま
　
翌朝、家へ着き元旦のおせち料理の前で
アンチャンはエラソーにくちゃくちゃになった
ケーキとお年玉を差し出すのである
（ 3千円と2千円くらいだけどね ）

あの頃の上野駅というのは
井沢八郎の歌そのものだった

　高校生のころ、女の子と文通をしていた
　お互い、顔を見て話しているわけじゃないから
　少なくともボクはカッコイイことばかり
　書き送っていたと思う
　
　彼女は専門学校進学のため上京、ボクは就職で上京
　で、会おうということになる
　
　○月○日○時○分○○駅前と決めた当日
　せっかちなボクは1時間前から、そこで待っていた
　
　時間になっても彼女らしい人はこない
　多くの人の波が寄せたり引いたりしてるうちに
　2時間は過ぎていたと思う
　フト気がつくと
　同じ場所でジッと立っている女性がいる
　思いきって声をかけてみたら彼女だった
　
　彼女は精一杯オシャレをしていて
　ボクの想像してたイメージから
　かけ離れていた
　
　話してみると、とっても素敵な人だったが
　若いボクは彼女のフェミニン過ぎるカッコウが
　頭から離れず、その後、理由をつけて会わなくなる

　女の子の気持ちを
　まるっきり理解しようとしない自分勝手な若さ
　彼女には本当に申し訳ないことをしたと
　今でも思っている 　　　　　　　　

親父が突然、会社へやってきた
＜イッチャマの父だ！＞ と
受付で言ったらしい

びっくりして受付へ行くと
黒シャツにサングラスの親父
誰かと二人連れで、＜ ヨッ！＞

九段下あたりで旧義勇軍の大会が
あったようで仲間連れ

店長が応接室へ通し相手をしてくれたが
親父の連れの方は恐縮しきり・・・・

しかし親父は
＜なぁに、かまうもんか！お茶飲め、菓子食え ＞

義勇軍の話をひとくさり語り
さんざん冷や汗をかかせ、帰っていった

後で店長が
＜バカな親父さんだなぁ＞ と妙に感心してる

親父を見かけた何人かが
＜ ヤクザだと思った ＞
まぁ、そんなようなもんさ

そんな親父に帰省の際、会社の商品の
ネクタイ、ベルト、マフラーなんかを
時々、おみやげに買って帰ってたが・・・
亡くなった後、遺品を整理していたら
○年○月雅利より、と表書きした箱に
それぞれ、きれいに納められていた
・・・・・・・

昭和の子供たち・やよい町15番地