ど こ の 美 大 ?

< どこの美術大学を出たの? >

百貨店の担当者から、よく聞かれる

ボクは学歴コンプレックスなんか
あんまり無かったけど
仕事上、うかつに返事ができない

たいがい笑ってごまかす

当時の写真を見ると
とても20才には見えないカッコウ
ビシッとスーツを着、スキが無いよう
目一杯、背伸びをして
デザイナーになりすましている

期待を裏切りたくないもんだから
仕事着には、お金をかけていた
で、財布はいつも空っぽ
疲れて帰るのは会社の中の寮
はやい話が住み込み

< どこの美大?、どこに住んでんの? >
傷つきゃしないけど
返事に困るから聞かないでほしい

ボクだってこのギャップに
悩んでんだから

 プレタポルテ

百貨店の協力販売で買わされた
日本初の Pierre Cardin プレタポルテ・スーツ

給料3ヶ月分ほどの価格で
支払いにズイブン苦労したけど
金持ちの放蕩息子にしか見えず
3回しか着なかった、着れなかった

後に流行った
木綿のハンカチーフ っていう曲を聞くと
なんでか、このスーツを思い出すんです

ゴ ー ゴ ー ・ ク ラ ブ

渋谷、赤坂、六本木・・・
ゴーゴー・クラブへはよく行った
( グルービー、マノス、ストロボ だったかな? )

慣れてしまえば

ストレス発散にこんないい所はない

チーク・タイムにはオーティス・レディングの
ドッグ・オブ・ザ・ベイが流れる

この曲になるとボクは壁に立ちんぼ

誰かが言ってた、女の子のお持ち帰りなんて
とんでもない
根性無しで、
健全だった

明け方まで踊って、歩いて朝帰り
住み込み寮で
汗でグチャグチャになった服を着替え
そのまま下に降りて仕事についても
この頃はヘーッチャラ

あれからもう50 年もたったんだ・・・・

銀 座 の 夜 の 物 語

入社2年目のクリスマス近く
< お互い、彼女も彼氏もいない寂しい同士で
  クリスマス・ディナーを食べない? >
って
ボクにしてはキザな言葉で K子を誘いました

有名ビルのイタリアン・レストランに
クリスマス・ディナー 1600円って
看板が出てたのを見てたから・・・

銀座の夜を見下ろすオシャレな席へ緊張して座り
セット・メニューを頼むと
ワインはいかがなされますか?って聞く
ボクはてっきりサービスだと思ってたら
ボトルが出てきやがったんです
それからは、これがいったい幾らなのか
気もそぞろ
料理なんかちっとも美味しく感じられず
怖くってワインはチョットしか飲めません

支払いになって恐怖は適中
あのワインが二人分のディナーより高い!
財布の底まで探してもそんな金は無い!
頭に血が上り、オズオズと彼女に頼むと
彼女も買い物したばっかし、持ち合わせが少なくって
二人合わせて、数十円残っただけ

でも数十円残っただけでも幸運でした
そのうち10円で、遠くに住む彼女は
友人宅へ電話し泊めてもらうことになり
そこまでの電車賃を払うと残ったのは3 円
ボクは神田の住み込んでる会社まで寒風の中
トボトボ 歩いて帰りました

後日、K子に上野でバッタリ 会い
ゴメン、お金を返す って言ったら
< イラナイーッ! > って走って逃げられました

レストランでコートをとりに行く
花柄のワンピースの彼女の後姿が
妙に印象に残ってます

昭和の子供たち・やよい町15番地