入社2年目のクリスマス近く
< お互い、彼女も彼氏もいない寂しい同士で
クリスマス・ディナーを食べない? > って
ボクにしてはキザな言葉で K子 を誘いました。
有名ビルのイタリアン・レストランに
クリスマス・ディナー 1600円 って
看板が出てたのを見てたから・・・
銀座の夜を見下ろすオシャレな席へ緊張して座り
セット・メニューを頼むと
ワインはいかがなされますか?って聞く。
ボクはてっきりサービスだと思ってたら
ボトルが出てきやがったんです。
それからは、これがいったい幾らなのか
気もそぞろ
料理なんかちっとも美味しく感じられず、
怖くってワインはチョットしか飲めません。
支払いになって恐怖は適中
あのワインが二人分のディナーより高い!
財布の底まで探してもそんな金は無い!
頭に血が上り、オズオズと彼女に頼むと
彼女も買い物したばっかし、持ち合わせが少なくって
二人合わせて、数十円残っただけ。
でも数十円残っただけでも幸運でした。
そのうち10円で、遠くに住む彼女は
友人宅へ電話し泊めてもらうことになり
そこまでの電車賃を払うと残ったのは3 円
ボクは神田の住み込んでる会社まで寒風の中
トボトボ 歩いて帰りました。
後日、K子に上野でバッタリ 会い
ゴメン、お金を返す って言ったら
< イラナイーッ! > って走って逃げられました。
レストランでコートをとりに行く
花柄のワンピースの彼女の後姿が
妙に印象に残ってます。
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