春 の め ざ め

アキラカワイ
成人向 と思い込んでいたギリシャ映画
< 春のめざめ > を観ることになった
補導されないよう大人の格好で
タカオカではヤバイので トヤマまで
電車で行く
ボクはオヤジのハンチングに
タバコ臭いジャケット、下は学生ズボン
という いでたち
緊張してチケットを買い
興奮しながら観たものは
モノクロの、ギリシャ神話を素材にした
詩的、叙情的な格調高い映画で
胸高鳴らせ、期待した少女のオッパイなんか
ちっとも見えず ( だったと思う ) お金をかけ
危険を犯したわりには・・・
< 鼻血もでんのォー > と、カワイがつぶやく
題名にだまされ
春にめざめられなかった ボク等はガッカリ
重い足どりで帰途についた・・・・

ボ ー ト

三年になったばかりの頃
何人かのグループで古城公園へ行った時
( 野外実習だったんだろうか )
生まれてはじめて
女の子と ボートに乗るはめになっちゃった

心臓が破裂するほど ドキドキさせ
ロボット三等兵 みたいになって
ギックシャック 漕ぎ、異常に疲れたけど
ひとつ階段登ったようで
すっごく・・・・嬉しかった
途中で雨が降り出し
木陰で雨宿りをしたのも
ちょっと大人の雰囲気だったね・・・

太 陽 の 下 の 17 才

三年の夏休み早々
アキラ に強引に連れていかれた
アマハラシ海岸には
二人の女の子が待っていた
カワイ が急に来れなくなったから
ボク がアテ馬になったらしい
喜んでいいのやら
悲しんでいいのやら・・・
喜んでいたに決まっている

女の子とは二度目だけど
今度は裸同然
ドギマギしながらボートに乗って
一日、水着で遊んだのである
色気の無いスクール水着でも
まぶしくって 目のやり場に困り
何をしゃべっても、しどろもどろ
アキラたち はずいぶん盛り上がっていた
カトリーヌ・スパーク の映画
< 太陽の下の17才 > みたいな気分だった
中味はずいぶん違うけど・・・・

マリリン・モンロー

フシキの港の食堂に
マリリン・モンローの裸のポスターが
貼ってあるらしい!!
カワイ の情報で
今にも雨が降りそうなのに
健全な青少年 4人は 自転車で

3〜40分かけ その食堂へ急行
薄汚い食堂には不釣り合いに
惨然と輝く
真っ赤、赤な布の上の 裸の モンロー

ボク等は
まるで関心の無い様な顔をしながら
横目でしっかりモンローを凝視
耳まで赤くして
一番安い素うどんを もくもくと食べる
みな押し黙ったまま 外へ出ると
頭を冷やせと
土砂降りの雨
帰りは ズブ濡れになり
健全な青少年たちは
風邪をひいてしまうのだった

あのポスターは きっと
外国の船員が持ち込んだものなんだろうね

昭和の子供たち・やよい町15番地