初 恋 

 中学時代を通して憧れていた女の子は
オサゲ髪の U子。
1年生の時、おんなじクラスだった
3 階から落ち、成績も落ちて
自信もなんにもないボクは
一言も話すことなく、
下校途中に見かける後ろ姿に
体中を熱くしていた。

ただそれだけで 3年間を過ごした。

彼女がどこの高校へ進学したかも知らない。
オサゲの後ろ姿だけが印象に残ってて
顔もはっきりおぼえていない。
その頃、何かの本で見た
島崎藤村の < 初恋 > という詩に
勝手にその気になって喜んでいた。

 
学校の前に、市電は走っていたけど
田畑が広がっていた頃の話。

不 純 異 性 交 遊

 生徒課の先生の指導で
不純異性交遊はイケナイというが
どんなんが不純なんか
具体的な説明はなかった。
ボクとは縁遠い話だけど
不純と純粋はどう違うんだろう?
学校の帰り二人で話しながら歩くんは
不純異性交遊なんだろか?
( 男女で歩く生徒なんていなかった )
ボクはチョット悩みながら
オサゲ髪の彼女と歩く姿を
妄想する・・・・・。

 子供がどうしてできるんかなんて
この頃はまだ、まったく知らなかった。

ソ リ ソ リ

  中学になると、今までスッキリしてた所に
 うぶ毛のようなものが生えてきた。
 と思っていたら
 あっというまに黒くなっていく。
 
  大人がそうなっているのは当たり前だけど

 勝手に大人の仲間入りさせられるみたいで

 ボクはあせってしまい、銭湯へいくたびに
 誰かが使い捨てたカミソリで
 まわりの視線を気にしながら
 セッセ、セッセと剃っていた。
 
若いから伸びるのもはやい。
 しばらく頑張っていたが
 カミソリ負けやら剃り損ないで傷だらけになり
 あきらめる・・・・。
 
  タオルで前をかくすようになるのは
 みんなこの頃からじゃない?

昭和の子供たち・やよい町15番地