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御 車 山 祭 (みくるまやま) |
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< 御車山祭 > の 5月1日
学校は 半ドン
ボクの町とは何の関係もないんだけど
タカオカで一番にぎやかな お祭
先生がホームルームで
お祭 に子供だけで行ってはいけない
あんな所へ行ってはいけない
こんな事をしてはいけない
先生が見回っている・・・・・
色んな注意をしても上の空
誰と行くかは、とっくに約束してあって
親と一緒に行く奴なんていない
ボクも家へ帰ると
カーチャンの作った御馳走を少しだけ食べ
お祭りの小遣い50円ほどをにぎりしめ
弟や仲間と走り出す
目指すは タカノミヤ のヤシ!
途中、曳き山 の行列に出くわして
しばらく眺めてたけど、晴れがましい格好で
曳き山に乗っかってる子供たちが
ちょっと、うらやましくって・・
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見 世 物 |
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先生に、見世物小屋へ入ってはいけない
って言われてた
たしかに、小屋の設えや 蛇女 の看板は
青少年の劣情を刺激するのに充分な
いかがわしさと猥雑さでイッパイだった
< よってらっしゃい、みてらっしゃい
親の因果が子にうつり・・・・>
マイクを片手にオッチャンが独特のダミ声で
客寄せを始めると、青少年も、ボクたちも
大人の世界の怖いもの見たさで
オッチャンの前に集まる
< ○○ちゃ〜ん・・・ >
オッチャンが小屋の中に呼びかける
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< はぁ〜〜〜い > と
看板の色っぽいオネーチャンと大違いの
格好だけ色っぽい オバチャンが顔を出し
生きた蛇を何匹もつかんで
いきなり噛みついた・・・・
生臭いにおいが一面に広がり
青少年たちは凍りつく
我に返ったボクたちは
あわてて小屋の前から走って逃げた
見世物小屋の多くは
こういう事でしか生活を立てれなかった
被差別や障害者の人たちだった
というのを後に知った
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露 店 |
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タカノミヤの境内には
見世物小屋や、色んな食べ物、オモチャ、飾り物
金魚やヒヨコ、輪投げ、パチンコ、射的なんかの
ヤシ(香具師)の露店が林立してて
サーカスや、お化け屋敷が来てたこともあった
極彩色のオモチャ箱をひっくり返した
夢の世界
どこから人が湧いて出てくるんだろう・・・
っていうほどの人混みをかきわけ
握りしめている小遣いと相談しながら
何で遊ぼうか、何を食べようか
ワクワクしながら一つ、一つの露店を吟味して回る
ヤシのオッチャンは 子供を騙そうと真剣
ボクたちは騙されまいと真剣
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でも、けっきょく、騙されて
胸が悪くなるような物を食べたり
景品のくれない輪投げをやったりして
小遣いを無くしてしまった・・・
気分を高揚させ、駆けて行った お祭りも
帰り道は、弟に八つ当たりしながら
(弟は小遣いをバカなものに使わなかった)
肩を落とし、足取り重く ヨタヨタ 歩く
トーチャンは
ヤシのオッチャンの悪口を
これでもかっていうほど言ってた
ライバル心 を持ってたんだ、きっと
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獅 子 舞 |
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秋になると、あちこちで獅子舞がはじまる
ボクの やよい町は、新しい町で
古くから続くお祭りは無かったから
獅子舞をやってる所へ
ひとりで見にいった
六尺棒やなぎなた、刀、いろんな道具で
獅子と戦う天狗
エンヤサー、エンヤサーの掛け声で
飛んだり、ハネたり、振り回したり
勇壮に舞いカッコイイ!
ボーッとしていると突きとばされそう
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ふと我にかえって前を見ると
同級生がキリッと衣装を着て
出番を待っている
ボクは急に恥ずかしくなり
彼の演舞を見ないで帰ってしまった
ボクの町内に獅子舞は無くっても
カアチャンはお祭りのゴチソウを
作ってくれていた
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オ フ ク ロ の 味 |
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お祭りの日のごちそうは・・・
赤飯は(餅米に小豆)トーチャンの好物で絶対
タニシかバイ貝とコンニャクを醤油で煮付けたもの
トヤマにしかない?コンブ巻カマボコ
時には、おさしみ
そして、エビス(ベッコウと言う所もあるらしい)
棒寒天を煮とかし、醤油、ちょっとの砂糖で味をつけ
それに溶き玉子をながしこみゆっくりまぜる
それをバットにいれ固まったら出来上がり
それぞれの家によって生姜を入れたり工夫をするが
ボクはカーチャンの作ったエビスが一番すきだった
今も時々他の家でいただくことはあるけれど
味付け、固さなど微妙に違い、なんか別物に感じる
それが世間で言うオフクロの味というものなのかな
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昭和の子供たち・やよい町15番地
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