大  雪

大雪の年は
絵のようになるのも珍しくなかった。
みーんな雪に埋もれてしまう。
今と違って除雪機械なんか無くって
降ろした屋根雪も前の道路に
人力でひたすら積み上げるしかない。

いつだったか屋根に登り
竹スキーで滑り降りて遊んでたら
家ん中にいたトーチャンにえらく叱られた。
滑り降りるとき
屋根瓦がガタゴト鳴っていたみたい。

スキーが屋根から離れると
お尻から雪山に着地する。
失敗すると
向かいの家の玄関あたりに飛び込んで
エライ目にあう。


バ ン バ

屋根につもった雪は
だんだん下がってきて軒先で垂れ下がる。
トヤマの雪は湿気があり、重いので
この縁を切っておかないと
軒がこわれたり

崩れて人が雪に埋もれたりすることもある。
実際、ひと冬に何人か
落ちてきた屋根雪で亡くなっていた。
ト-チャンが長いバンバを使って 縁を切る。
こういう時のト-チャンはいっつも
シカメッツラで
いかにも大変なことをしてるっていう
顔をしてる。

子供用のバンバは
雪ん中のママゴト用。
可愛い絵が描いてあり
雪を着色する赤や青、黄の色水なんかも
駄菓子屋で売ってて
妹はペタペタやって遊んでた。


雪が降る空を見上げると
雪が落ちてくるんじゃなくって
ボクたちが

空に吸い込まれていくような・・・
目がまわりそうな・・・
不思議な感じ。

舞い落ちてくる雪を
大きな口をあけて受けとめた。

つ ら ら

長いつららを折って、しゃぶっていた。
よくよく考えてみれば
屋根に面した雪が溶けて凍ったもので
きれいなはずがない。
ト-チャンは
放射能が入っているから
雪もつららも食っちゃいかん !
って言ってたんだけど・・・
そういえば子供の頃は
放射能のせいで生物が
変型したとか巨大化したっていう
映画が多かったなぁ。

昭和の子供たち・やよい町15番地