み ぞ れ

冬のはじめ
遠いところへ遊びに行って
降られたりすると最悪
氷水のような みぞれ で ズブ濡れ
骨の芯まで冷えきって
顔も手も感覚が無くなっちゃって
歯をガチガチ鳴らし、半ベソをかきながら
なんとか家にたどりつく


 傘をもってけって言ったやろ!
カーチャンは叱るけど
傘もって遊びに行くやつなんか、いるもんか
体をふき、服を着替えたら

すぐに
日の出湯に行かされる
お湯につかると、最初はなんにも感じないけど

そのうちジ〜ンと変な痛みが広がってくる
これが快感なんだよね


初 雪

 初雪が降った。
嬉しいような、嬉しくないような・・・
今までのように遊べない
でも、雪遊びが楽しみ
でも、寒いし、シモヤケやアカギレができるし

でも、正月にお年玉もらえるし
子供たちの心境は複雑。


に の じ 、に の じ

 初雪や
  二の字二の字の 下駄のあと


授業でこの句を教わってからは
雪が待ち遠しくって、待ち遠しくって・・・
ようやく雪が降り外一面、真っ白。
さっそくカーチャンの
ツマカケのついたタカアシダ(高足駄)をはいて

 < 二の字 二の字のゲタのあとや!>
嬉しがって雪の上を歩いてたら
ゲタの歯の間に
雪が詰まり
だんだん高くなってって
最後はゲッコンでひっくり返り
タカアシダの鼻緒を切り
ズボンのオシリんとこを破り
足首を捻挫してしまった。

 カーチャンは、ボクを怒鳴りつけながら
腫れてきた足首にエキホスを貼り
ズボンを縫ってくれた。

 の ス タ イ ル

 小学校低学年の頃の冬のスタイルは・・・・
左からラクダの上下に腹巻き、足には足袋
弟や妹は綿入りのドテラを着ていた。
その上にカ-チャンの手編みのセーターにズボン

その上に学生服をムリヤリ着る。
ダブダブの長グツ、和傘
凍死しそうなくらい寒いと
その上にコートみたいなもの着て
マフラーみたいなものでホッカムリ
防空頭布のようなものも被ったり・・・。

 当時は、暖かければいい、しのげればいい
で、サイズも色もどうでもよく
トーチャンの払い下げを
カーチャンが仕立て直して着ることも多かった。

コートなんかはタバコのにおいがしてたもんね
パンツやモモヒキ、ズボンはみな 前がボタン止め
オシッコする時は、手もかじかんでて大変
前を濡らしちゃうことも多かったんだろうね。

鼻 水 ・ し も や け

 みんな鼻水をたらして
ズルズル音をたてていた
たらしててもティッシュペーパーなんか
あるわけがなく服の袖でゴシゴシ

袖は乾いた鼻水でテカテカになる。
片方の鼻からだけを単線
両方からたれるのを複線と言ってた
青いのや黄色いのやら、色々。

シモヤケで、耳たぶは 大仏さんみたいに
腫れて垂れ下がり
手足の指も曲がりにくいほど腫れ
手の甲はアカギレで血がにじみ
かゆくって痛かったけど
子供は風の子
どんなに寒くっても外で遊んでいた。
家ん中ではすること無かったしね・・・。
今でも ケロイド状の アカギレ
の跡が
残っている奴がいるんです。

昭和の子供たち・やよい町15番地