教 室 の 暖 房

小学校低学年の頃の暖房は
教壇の横に大きな 火鉢が一つあるだけ
炭火だから定期的に空気の入れ替えも
しなくっちゃいけない

窓際なんかは頭が凍るような気がした
ズルズル鼻水の音をたてながら
みんなセキをしたり、クシャミをしたり

マスクをしてる子も何人もいる
ホッペタに膏薬を貼っている子も
何人かいたけど

あれは一体何だったんだろう?

休み時間になると
みんなバタバタと火鉢のまわりに集まる
元気なやつは廊下で
< うまとび > や < おしくらまんじゅう > で
体を暖めていた
いつからか、火鉢は石炭ストーブに変わり
真っ赤に燃える石炭の
あまりの熱さに驚いたもんだ

う ま と び

廊下でやった、うまとび
馬になるのと、飛び乗る方の
二組に別れ
最後に飛び乗ったのと
馬の頭がジャンケンをして
負けた方が馬になる・・・

ジャンケンの掛け声は
ジャイケン・オッヘラー
ハッサン・シー

この遊びは、首の骨を折った子がいたとかで
早々に禁止になっちゃった

ば、へーこくなよ!(お前、おならするなよ!)
なんて言いながら尻の間に頭をつっこむ
当然、男の子の遊び

お し く ら ま ん じ ゅ う

 おっしくらまーんじゅう
おっされてなーくなぁー

叫びながら
ただひたすら、背中で押し合い
押されて下がるのがイヤだから
ムキになり、真剣になり
あいだに挟まった奴が
泣き出すこともあったけど

おかまいなし
体が温まって汗をたっぷりかいたりすると
その後は体が冷えて風邪をひいちゃう

おしくらまんじゅう に
限ったことじゃないけど
みんな目一杯 遊んでは風邪をひいていた
子供は風邪の子だァ
< おしくらまんじゅう > って
どういう意味なんだろう?

石 炭 ス ト ー ブ

教室の暖房が
石炭ストーブになったのは
いつからだったんだろう
炭とは違って、すっごい火力
アッ、という間に教室が暖かくなる
ゴーッゴーッと音を出し
胴をオレンジ色に輝かせ

燃えさかるストーブは
おっかないけど頼もしくって
自分たちが
ちょっと偉くなったような気がした

石炭っていえば
しょっ中あった炭坑事故や
炭坑に住む子供たちの生活みたいなのを
映画館のニュース映画でよく見てた
盆踊りでは必ず炭坑節をやってたし・・・
この頃、産業のエネルギーの中心は
まだ石炭だったんだ

昭和の子供たち・やよい町15番地