カ エ ル の 解 剖 

理科の時間に
カエル の解剖があった
痛みを知らない残酷な子供たちは 大喜び
大きなのを捕まえてきて
麻酔をかけ、虫ピンで まな板に押え
ドキドキしながら
カミソリで腹を裂いた瞬間
カエル が渾身のジャンプ

はらわたを引きずったまま
飛び跳ねるカエル に
教室中は大騒ぎ
理科が終わった後の
教室は
いつまでも生臭いにおいが漂い
給食が ちっとも美味しくなくって
みんな残してた

カ エ ル の 合 唱 

公園近くの親戚のオバーチャンが亡くなり
夜伽(通夜)に連れていかれた
オバーチャンの顔を見て おまいりしたら
大っきな板チョコをもらった
< 先に帰ってろ > って トーチャンに言われ
弟と二人、暗い夜道をトボトボ歩いていたら
田んぼの中から すごい鳴き声

ゲコ、ゲ-コ、ゲコ、ゲーコ、ゲコ、ゲコ・・・
何万匹もの トノサマ ガエルが合唱しながら
ボクと弟を取り囲み にらみつけている
・・・・ような気がする

 ウオッ、ウオッ、ウオーッ、ウオッ
公園からは ウシ ガエルの吠える声
カエルの大合唱に
押しつぶされそうになって
足はだんだん早くなり、途中から駆け足・・・
汗をかき、心臓をドキドキさせて
やっと家についたら
大事な板チョコはグチャグチャになっていた



昭和の子供たち・やよい町15番地