春 の 小 川

雪がとけて
土の匂いがつよくなってくる頃
学校の横の小川をのぞきこむと
小さなメダカやドジョウなんかが
動きはじめている
そこでイタズラをしてから家へ帰るのが
毎日の日課

お 花 見

毎年、桜が満開になると
カーチャンはボクたちを
古城公園へ花見に連れていった
( トーチャンとは行ったことがない )
公園は、ほこりっぽくって
人がいっぱい
酒のにおいがいっぱい
あっちこっちで酔っぱらって
歌う人、踊る人、喧嘩する人
血だらけの人、倒れてる人・・

恐い大人の世界だった

カーチャンは必ず
花見警戒中の臨時派出所の横に
場所をとり、ゴザを敷く
ボクたちは花よりダンゴ
カーチャン手づくりの豪華?弁当と
1本を3人でわける綿菓子が
楽しみ
大嫌いな ジンダハン( 巡査 )も
この日だけは頼もしく見える

大 仏 さ ん 

繁華街のはずれに日本三大仏のひとつ
といわれた大っきな大仏さんが居て
高岡のアイコンになっていた。
大仏さんの蓮台の下は薄暗い回廊で
そこには何点かの仏画が飾ってある。
桜の散りかけた古城公園で遊んだ帰り
怖いもの見たさで、
線香のにおいが充満した
回廊へみんなで入ってみた。
目的は、うわさの地獄絵。


鬼が亡者たちを、焼いたり。刺したり
切り刻んだり、阿鼻叫喚の地獄絵図を
ためつすがめつ眺め

罪深き子供たちは恐れおののく・・・。
入るときは優しい顔に見えた大仏さんが
出るときは怖い顔になっている。

その日の夜は妄想がふくらんで
なかなか寝つけなかった。



昭和の子供たち・やよい町15番地