千保川の土手のまわりには人家が無く
チャンバラ・ゴッコや、魚釣り、カエル釣りや
色んな遊びが気兼ねなくできる場所だった
特に、大きな二上山を背にしての
チャンバラ・ごっこは
チャンバラの映画に俳優になったみたいで気分がいい

大きな声を出し、切った張ったを演じる

赤 ト ン ボ

千保川の土手で遊びに熱中してて
気づくと、もう陽が傾き
帰らなくっちゃいけない時間
見上げると大きな二上山を背に
赤トンボが群れをつくって飛んでいる
ゆうやけこやけの赤トンボは
ちょっと切ないから

ボクたちはススキを振り回し
カラスがなくからかーえろ って
唄い、
じゃれながら家路につく
あのころは二上山をさえぎるような
大っきな建物はなかった

バ カ な 遊 び

千保川の土手のまわりには人家が無いから
色んな、バカな遊びのできる大事な場所
バカな遊びのひとつは
2B弾 の投げっこ
学校の前のセキノヤで2発 1円
マッチの擦るところでシュッてやると
白い煙が出て、それが黄色に変わり
約3秒で破裂する
広い空間でやると パァァ〜〜〜ン と反響して

スゲー気持ちいい
これを投げあって戦争ゴッコ
2B は、持ったまま破裂しても耳が変になるのと
手が痛いだけで大したことはなかったけど
1発 1円のダイナマイトは強烈で
土がエグレるほどの威力があり怖いから
あまり使わない

これも セキノヤで売っていた

肥 え だ め に 落 ち た ・ 1 

土手で遊んでいて
T夫 が < 肥えだめ > に落ちた
(当時、野菜なんかの肥料にするための
    肥えだめ はアチコチにあった)
肥やし はすっかり発酵してて
タールのようになっている
T夫 は泣きながら
着ているものを川で洗ったけど

キレイになるわけがない
ぼくたちは遠巻きにして
 < だいじょーぶかー・・・
  寒くないかー、風邪ひくぞー・・
誰にも言わんからな・・・ー >

口先ばっかり
離れて歩いて、T夫
を家まで送っていった

肥 え だ め に 落 ち た ・ 2 

家に帰った T夫
カーチャンに 怒鳴られ、引っ叩かれ
裸にされて、外で水をぶっかけられたらしい
T夫 は翌日、風邪をひいて学校を休んだ
T夫 が肥えだめに落ちた話は
次の日、同級生のみんなが知っていた
子供が何人も < 肥えだめ > に落ちて
死んでるから近くで遊んじゃ駄目だぞ!
トーチャンが時々、言ってたんだけど・・・

昭和の子供たち・やよい町15番地