チ ャ ン バ ラ ご っ こ - 1 

 ボクたちのヒーローは
マンガや、時代劇の映画の中にいる
鞍馬天狗、丹下左膳や赤胴鈴之助・・・。
だからボクたちは
チャンバラごっこに夢中。
お祭の夜店で買ってもらった
木製の刀は自慢の宝物。

 そこいらにある木や竹の棒
カーチャンの3尺の物指を腰に差し
ワリバシの手裏剣
フロシキの頭巾なんかでカッコつけて
町内中を走り回る。

チ ャ ン バ ラ ご っ こ - 2

 子供は何を決めるのもジャンケン
ジャイケン、オッヘラー、ハッサン、シー
のかけ声で
ドン(グー)パー(パー)ニュー(チョキ)
を出す。
今、だれが主役の 鞍馬天狗になるのか
ワルモン(悪役)はだれか・・・を

真剣に決めている。
どうしても イイモン(正義の味方)なりたい奴が
相手の出した手の形が変だとか、遅出しだとか
イチャモンをつけて喧嘩になることもあった。
杉作役は、あんちゃん達の仲間に入りたい弟がなり
電柱に荒縄で縛られる。

チ ャ ン バ ラ ご っ こ - 3

 配役が決まったら、シナリオの打ち合わせ。
おまえが、こう切ったらオレが飛んで・・・・

立ち回りがはじまる。
刀でホントに叩いては
いけない
これが不文律。
ところが、つい興奮して
正義の刃がボクの頭を直撃
当った、当らないでモメだし 
ついにホントに、刀で叩き合いになり
ケンカ別れ。
 ダラー!おまえのカーチャン、でーべーそー!
半泣きで怒鳴りながら、家へ逃げ帰る。
可哀想に、弟は電柱に縛られたまま・・・
正義って痛いもんなんだ。

チ ャ ン バ ラ ご っ こ - 4

  小学2年の夏
 旅芝居の役者をしていたオッチャンが
 お芝居んときは、こうするんや

 と言って、顔をつくってくれた。
 ボクと弟は、ナトコ映画みたいやー、と
 得意満面!
 喜び勇んでチャンバラに行ったら
 笑うやつと、逃げ帰るやつ。

 でも、もったいないから夕暮れ時まで
 このままで、走り回っていた
 
  後でトーチャンにひっぱたかれ
 しばらく仲間には白い目でみられる。
 

ひ と り チ ャ ン バ ラ

 いくじ無し、へっぴり腰、内気、内弁慶
ヘタレ冠はいっくらでもつくボクは

仲間とのチャンバラごっこで
たまに主役になっても
カッコウがつけれない。

そのウサは、
ひとりチャンバラで晴らす。
誰も見ていないのを幸い
妄想の中で陶酔し、見得をきって

悪人共をバッタバッタと斬り倒す。
片目にバンソウコウを貼り
片手を懐に入れて
 オレは、丹下左膳じゃー!
トーチャンも、学校の先生も
いっつもイジメる奴も恐くない!
ひとりでドタバタやって
ひと汗かいて、ふと我にかえると
かぎりなく 空しいのであった。

 ひとり西部劇、ひとりプロレス、
ひとり戦争ごっこもやってました・・・。

昭和の子供たち・やよい町15番地