田舎だから外国人なんか めったに見かけないんだけど たまーに 伏木港から ソ連船の船員が 町へやってくることがあった ガキ共は、手に武器を持って < ガイジン!ガイジン! > と 叫びながら 後をついてまわる トーチャンはソ連人が大嫌いだった 終戦の時、アイツ等のために満州にいた 日本人がひどい目にあったんだ! って、いっつも怒ってた
じんだはん( 巡査 )に ついてまわる おっかないから 離れて、ついてまわる < 誰か捕まえんかのー > 小さい声で言いながら ついてまわる トーチャンは警察が嫌いだった カーチャンは < 昔、ぜったい何かで捕まったからや > って、言ってたけど あのトーチャンだったら・・・ そんな事があったのかもしれん そのトーチャンは ボクが知ってるだけで 二度、ドロボーを捕まえ そのたび警察から表賞され 金一封をもらって、ご機嫌だったのに そのへんが、よくわからん
チンドン屋さんに ついてまわる チン チチン ドン ドン ♪ 鳴り物と時代劇に出てくる 派手な衣装で練り歩く ニコニコ笑顔で宣伝ビラを 配りながら練り歩く 時々、ピタッと止まって 宣伝の口上をカッコ良く言う ボクたちもピタッと止まって 神妙に口上を聞く・・・・
でも、 チンドン屋さんが 物かげで休んでる時 みんな不機嫌な顔で黙って タバコを吸っているのを見て ちょっと怖かった・・・・
ついてまわってるうちに 迷子になってしまった 陽が傾いてきて 家に灯りがつきはじめる ボクたちは途方に暮れ あっちだ、こっちだと ウロウロと歩いているうちに 足がだんだん速くなり ひとりが走り出すと 後を追って みんな真剣に走り出した 弟も 泣きさけびながら後を追う・・・
昭和の子供たち・やよい町15番地