ル ン ペ  ン

 映画で見た
浮浪者が土管の中で生活する
シーンに
憧れてた。
空き地で土管を見つけ
中に入って
夕陽をながめながら悦に入る。
狭いけど 自分だけの部屋の気分。
 ルンペンみたいやー!
どっかの外国へ行きたいのォ

みんなで ため息。
そのうち、どこがいいか、っていう
妄想が始まる。
映画で アメリカしか知らないから
そこに落ち着くが

インデアンおっから、こわないか?
なーん、保安官おっからだいじょーぶやちゃ
騎兵隊もおるしのォ
そーやのォ ・・・・・・・・・。

か げ ふ み

 遊びまわってて
やがて陽が西にかたむき
影がどんどん 長くなる。
そろそろ家の中のカーチャンから
夕御飯の声がかかるころ・・・
遊びの最後に、カゲフミをしながら
カーチャンの声がかかった子供から
順に家へ入っていく。

マサナリのカゲふんだー!

ごはんだよー

ノボル!ごはん!

だんだん路地は静かになっていく。

デ ズ ニ ー の 空

 学校の運動場で遊んでて
気がつくと陽はとっくに落ち
あたりは暗くなっている。
見上げると
空は深い深い青紫色。
そこに忘れ物のように

ピンク色の雲が浮いてて
ピカピカと光る星がひとつ。
 デズニーの空みたいやのー
すっごくキレイで しばらく眺めていた。
ボクたちの頃
夢みたいにキレイなものは、みんな
映画館で観るディズニーの
マンガ映画の中にあった。
家に帰ったら < どこ行ってた!遅い!

ってカーチャンに叱られる。

昭和の子供たち・やよい町15番地