荷 馬 車 

 せまい路地を荷馬車が通る。
カッポ、カッポ
馬の足音の後ろから
こっそり
荷台に飛び乗ったりして遊ぶ。
馬の落とし物はそのまんま
乾いて、風がふけば
ワラのようになって

どこかへ飛んでいく。
 

ス ケ ー タ 

 スケータ と呼んでた乗り物が流行った。
借りて、乗ってみた。
子供用三輪車よりカッコイイけど
車輪が小さいし、鉄むきだしだから
舗装してない道を乗り回しても
ゴトゴト つっかえてばかり。
スケータ っていう風に走らなくって
ちっとも面白くない。
用水のコンクリートの橋の上だけは

ゴロゴロ 気持よく滑らかに走る。
都会では道が舗装してあるから
きっと楽しいんだろうなァ。

自 転 車

 ボクたちは、いつも 三角乗り
子供用自転車なんか
買ってもらえるわけがないから
トーチャンの頑固な自転車で
フレームの三角のところに
足を入れて
体を上下にゆらしながら
ガチャコン、ガチャコン
器用に走らせる。
ちょっとエラくなったような気分で

駄菓子屋さんの前を流したりする。

 蒸 気 機 関 車

 汽車はウンコをまき散らしながら走ってる!
っていう噂を聞いて、遠くまで見に行った。

蒸気機関車は駅の停車場で見かけたぐらいで
走ってるところは見たことがない。

しばらく待っていると遠くから汽笛が聞こえ
アッというまに鉄の大きな塊が、黒い煙りと
石炭の臭いを吐きながらガッシュ、ガッシュ

地響きを立てて目の前を通り過ぎていく。

ボクたちは、その迫力をボーゼンとして見送り
ウンコ のにおい、せんかったのぉ・・・
負け惜しみをつぶやく。


蒸気機関車に初めて乗ったのは中学の修学旅行。
たしかに便器の下に線路が見えていた。

昭和の子供たち・やよい町15番