夏の終わりに 五箇山のジーチャンが訪ねてきた。 ジーチャンは、一代で財を築いた人で 色々あって晩年は零落したけれど トーチャンの唯一、頭が上がらない人だったみたい。 何度も来てるのに、初めてボクと弟の三人で お昼に 日の出湯へ行った。 翌々日、城端のオッチャン(母の弟)の家で 倒れ、死んだ。 みんなの顔を見にきたんだろうか。 ジーチャンに可愛がられていた弟は 便所に入って、大きな声で泣いていた。 五箇山での葬式から帰ってきたカーチャンは トーチャン、鬼の目にも涙やった・・・ と言っていた。 そういえば、ボクはトーチャンの涙って 見たことがない。
夏休みは、長い、ながーい、おまつり。 終わりに近くなると、すっごい寂しさと やってない宿題のパニック。 カーチャンが内職している机で 弟とやろうとするけど 弟はとっくに、あきらめの境地 妹は、ジャマばかりする。 ボクは先生が怖いから 気ばかり、あせってる。
夏休みの宿題の自由工作は ボール紙でゴミ箱なんかをテキトーに作って 誤魔化すんだけど Aちゃんは自由工作にチリ取りを 大工のトーチャンに作ってもらってた。 そばで見ていて すっごく ウラヤマシかったけど こんな立派なのを学校へ提出して イイんか、ちょっと心配。 Aちゃんは 得意満面。 うちのトーチャンは みんなに自慢できるようなこと なんにも無いもんなァ。
チリ取りの Aちゃん やっぱり学校で先生に 殴られたらしい・・・・
夏休みの宿題に、絵日記もある。 ボクは図画の点数がいいわけじゃないけど コマッシャクレた絵をかいていた。 そんな絵日記に先生は赤ペンで 親に手伝ってもらわないこと! と書いた。 それを見てしまったトーチャンは 本人がかいたものだ! と書いて 先生に見せろと言う。 異議を唱えれないヘナチョコのボクは 先生とトーチャンのハザマでうろたえ 先生のを赤ペンを消したり トーチャンの赤ペンを消したり・・・・ 絵日記をグチャグチャにしてしまって けっきょく、先生に叱られ、殴られてしまった。 図画だけは、弟の方がズッとイイ絵を描いていて 色んな展覧会に入賞してたなァ。
昭和の子供たち・やよい町15番地